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インサート成形とは?樹脂と金属を一体化させる成形技術の基本!

製造業において、製品の軽量化と高強度化の両立は常に求められる重要な課題です。

インサート成形は、この課題を解決する革新的な成形技術として注目を集めています。本記事では、金属と樹脂を効率的に一体化するインサート成形の基礎から応用まで、実務に役立つ情報をわかりやすく解説します。

 

インサート成形の基本

インサート成形は、金属部品を予め金型内にセットし、その周囲に樹脂を射出して成形する技術です。この工法により、金属と樹脂を一体化させた複合部品を効率的に製造することが可能になります。

従来の組立方式と比較して、部品点数の削減や組立工程の簡略化が実現でき、製造コストの低減にも貢献します。

✓ポイント
金属部品の位置精度と樹脂との密着性が製品品質を左右する重要な要素となります。適切な金型設計と成形条件の設定が不可欠です。

 

インサート成形のメリット

  1. 1. 部品点数の削減による製造工程の簡略化
  2. 2. 金属と樹脂の確実な結合による高い信頼性
  3. 3. 製品の軽量化と高強度の両立
  4. 4. 二次加工が不要で製造効率が向上
  5. 5. 複雑形状の実現が可能

✓ポイント
金属と樹脂の特性を活かした設計により、高機能な製品開発が可能になります。コスト削減と品質向上の両面でメリットがあります。

 

インサート成形の工程

1. 金属インサート部品の準備

・表面処理・洗浄

・寸法検査

・予熱(必要な場合)

インサート成形の品質を左右する重要な準備工程です。金属部品の表面状態は樹脂との密着性に直接影響するため、適切な前処理が不可欠です。特に洗浄と予熱は、最終製品の品質を大きく左右します。

 

2. 金型への装着

・位置決め確認

・固定具による保持

金属部品を金型内に正確に配置する工程です。位置ずれは製品不良の主な原因となるため、確実な位置決めと固定が求められます。自動化設備を用いることで、より安定した品質が確保できます。

 

3. 樹脂射出成形

・金型閉鎖

・樹脂材料の射出

・冷却・固化

成形工程の核心部分です。金型温度、射出圧力、保持圧力などの成形条件を最適化することで、金属と樹脂の確実な接合が実現します。特に冷却時間の管理は、製品の寸法精度に大きく影響します。

 

4. 取り出し・検査

・成形品の取り出し

・外観検査

・寸法検査

製品品質を保証する重要な工程です。外観検査では樹脂の充填不良や金属との密着不良を、寸法検査では製品の変形や寸法ずれを確認します。不良品の流出を防ぐため、複数の検査項目を設定することが一般的です。

 

金属インサート成形の特徴

金属インサート成形では、板金加工や金属プレス加工された部品を樹脂成形と組み合わせることで、高強度で信頼性の高い製品を生産できます。金属の構造強度と樹脂の軽量性・意匠性を両立させることが特徴です。

また、金属構造と樹脂部分の接合部分は、アンカー効果により機械的な結合力が得られます。これにより、高い耐久性と信頼性を実現できます。

✓ポイント
金属部品の形状設計と表面処理が、製品の品質と耐久性を決定づける重要な要素となります。

 

金属インサート成形の注意点

材料選択や成形条件の設定には、以下の点に注意が必要です:

  1. 1. 金属と樹脂の熱膨張係数の違いへの配慮
  2. 2. 適切な予熱温度の設定
  3. 3. 金型内での位置ずれ防止
  4. 4. 樹脂の収縮率考慮
  5. 5. 金属表面処理の適切な選択


特に、金属と樹脂の接合強度を確保するために、金属表面の前処理や樹脂材料の選定が重要になります。

 

インサート成形の応用分野

自動車部品

・コネクター

・スイッチ類

・制御基板

電機・電子部品

・端子

・センサー部品

・基板実装部品

産業機器部品

・機構部品

・筐体

・精密機器部品

 

まとめ

インサート成形は、金属と樹脂を効率的に一体化できる革新的な成形技術です。適切な設計と製造条件の管理により、高品質な複合部品の製造が可能になります。特に、板金加工や金属プレス加工と組み合わせることで、さらなる可能性が広がります。

今後も自動車や電機・電子機器などの分野で、ますます需要が高まることが予想されます。製品の軽量化や高機能化のニーズに応える重要な技術として、さらなる発展が期待されています。