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インサート成形と射出成形の違いとは?選び方のポイントを徹底解説

プラスチック製品は私たちの生活に欠かせない存在ですが、どのようにつくられているのかご存知でしょうか。プラスチック製品をつくるために「インサート成形」と「射出成形」という製造方法があり、現代社会にとっては欠かせない技術です。

この記事では、インサート成形と射出成形の特徴や違いについて、わかりやすく説明します。

 

プラスチック製品をつくる方法「インサート成形」と「射出成形」

プラスチック製品をつくる方法は複数ありますが、代表的な方法に「インサート成形」と「射出成形」があります。それぞれの特徴をみていきましょう。

 

インサート成形とは?

インサート成形とは、金属や他の部品を型の中にセットし、そこに溶かしたプラスチックを流し込んで、新しい製品をつくる方法です。

 

インサート成形の特徴

金属とプラスチックを一体化させ、強度と耐久性に優れた製品がつくれる

設計の自由度が高く、複雑な形状でも対応できる

組立工程が不要となるため、人件費や物流費などコスト削減につながる

結合部品が不要となるため、製品の軽量化が実現できる

 

射出成形とは?

射出成形とは、溶かしたプラスチックを型に流し込んで、新しい製品をつくる方法です。型を交換すれば、多種多様なプラスチック製品をつくり出すことができます。

 

射出成形の特徴

スピーディーに大量生産できる

製造コストを削減できる

安定した品質で製品を提供できる

さまざまなプラスチック素材に対応できる

 

製造プロセスの詳しい工程

プラスチック製品の製造工程は、原料の準備から完成品まで、緻密な管理が必要とされます。射出成形では、まずペレット状のプラスチック原料をホッパーから供給し、シリンダー内で加熱・溶融させます。溶融したプラスチックは、スクリューの回転によって前方へ送られ、高圧で金型内に射出されます。金型内で冷却・固化された後、型開きが行われ、製品が取り出されます。この一連の工程は自動化されており、安定した品質の製品を連続的に生産することができます。

一方、インサート成形では、金属部品の前処理が重要な工程となります。まず金属部品の表面処理を行い、プラスチックとの密着性を高めます。その後、金型内に金属部品を正確に配置し、位置決めを行います。この位置決めの精度が、製品の品質を大きく左右します。その後は射出成形と同様に、溶融したプラスチックを金型内に射出し、冷却・固化させて製品を完成させます。

 

インサート成形と射出成形の課題

インサート成形は高機能な製品を生み出せる一方で、製造における課題も存在します。

まず、専用の金型や設備が必要となるため、初期投資額が高額になりがちです。金型の設計・製作には時間がかかり、製品の量産開始までにある程度の期間を要します。また、成形時に不良品が発生した場合、金属部品も同時に廃棄せざるを得ないため、コストロスが大きくなる傾向にあります。さらに、金属部品の在庫管理や品質管理も必要となり、総合的な製造管理の難易度が高くなります。

射出成形は効率的な生産方法である一方で、製品設計上の制約があります。特に大型製品の製造には不向きで、金型サイズや射出圧力の制限により、製品の大きさに制約があります。また、製品の肉厚が大きい場合、冷却時間が長くなり、製品内部にボイドと呼ばれる空洞が発生するリスクが高まります。

金型のメンテナンスも重要な課題で、長期使用による摩耗や劣化に対して定期的なメンテナンスが必要となり、これらの維持管理コストも考慮しなければなりません。

 

インサート成形と射出成形の違い

インサート成形はプラスチックと金属を組み合わせた製造方法であるのに対して、射出成形はプラスチックのみを使用した製造方法です。つまり、インサート成形は異素材を使用するのに対し、射出成形は単一素材を使用する点に違いがあります。

 

インサート成形と射出成形の選び方

つくりたい製品の特性に合わせて、「インサート成形にするのか」「射出成形にするのか」を選択します。具体的に、どのような製品に適しているのか確認してみましょう。

 

インサート成形に適している製品

自動車の各部品

インサート成形では金属とプラスチックを一体化させ、軽量でありながら強度や耐久性を高めた部品がつくれます。シフトレバーやハンドル、その他の電気系パーツなど、インサート成形の部品が数多く使用されています。

 

電子機器の各部品

耐久性や伝導性が必要なスイッチなど、電気機器の部品にも適しています。

 

医療用チューブ

インサート成形はプラスチック内に金属やワイヤーなどを組み合わせることができ、医療用チューブや歯科用の器具などに利用されています。

 

射出成形に適している製品

スマートフォンの各パーツ

射出成形は複雑な形状でも対応できるため、デザイン性が求められるスマートフォンカバーや内部部品に利用されています。

 

食品容器

射出成形は低コストと大量生産が実現できる製造方法です。プラスチック容器やデザートカップなど食品容器にも向いています。

 

プラスチック製のおもちゃ

射出成形は精密さが求められるプラモデルやフィギュアなどにも利用されています。

 

まとめ

インサート成形と射出成形はプラスチックを使用する製造方法ですが、製品のニーズに合わせて製造方法を選ぶことが重要です。

具体的には、インサート成形は強度や耐久性が重要な製品に適しており、もう一方の射出成形は大量生産やコストパフォーマンスを求める製品に適しています。

機能性とコストパフォーマンスに優れた製品に仕上げるために、それぞれの製造方法を見極めましょう。