Column Detail自動車に使われるバスバーって何?分かりやすく解説!
自動車に使われるバスバーとはどのようなものなのでしょうか。バスバーの種類や加工方法、使用するメリットなどバスバーについて分かりやすく解説します。
バスバーって何?
バスバーは大型の配電盤や制御盤、蓄電池、電気自動車の配線に利用されている棒状又は板状の電気部品です。銅やアルミニウム、真鍮など導電性の高い金属で作られており、1つの電源から複数の出力に分電するための電気回路の接続点としての役割を果たします。英語では「bus bar」と表記されるため日本ではブスバーと呼ばれることもあります。
バスバーはビスで固定するだけで配線作業が完了する手軽さと、電気抵抗が小さく大電流が流せることが利点です。また、「電圧降下」(電流が流れる際に発生する電圧の低下)が少ないため、電力損失を抑えられます。これらの特徴を活かし、ケーブルや導線の代わりに幅広く利用されています。
バスバーの種類
バスバーには以下のような種類があります。
①主幹バー:制御盤や分電盤の母線として使用
②分岐バー:主幹バーと主幹バーを連結
③アースバー:接地用
④被覆付きバスバー:安全性を高めた特殊加工タイプ
⑤フレキシブルバスバー:柔軟性を高めた帯状の銅導体
⑥ラミネートバスバー:電波干渉を抑えた複数導体層構造
電気自動車では、バッテリー内部での発熱に対応するため被覆付きバスバーが使用されます。狭い箇所の設置にはフレキシブルバスバー、高速スイッチング(電気回路の高速な開閉動作)時の異常電圧抑制のためにはラミネートバスバーというように、使用する箇所に応じて適切なタイプを選定します。
バスバーの製造方法
バスバーの製造プロセスは以下の通りです。
①材料選択:主に銅、アルミニウム、真鍮を使用
②切断:プレス加工で必要なサイズに切断
③成形:曲げ加工や穴あけ、タップ加工、切削加工など
④表面処理:錫めっきやニッケルめっきによる耐腐食性・導電性の向上
これらの工程には高度な加工技術が必要とされ、品質管理が極めて重要です。
バスバーは何に使われる?
バスバーの主な使用箇所は以下の通りです。
①配電盤や制御盤
②蓄電池システム
③電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の電気系統
④電車の制御回路配線
⑤太陽光発電や風力発電の設備
⑥産業用機械の電力供給システム
特に近年は、世界的なEV化により自動車産業での需要が急増しています。
自動車にバスバーを使うメリット
自動車、特に電気自動車でバスバーを使用するメリットは以下の通りです。
①大電流の効率的な供給:モーターなどの電気機器へ安定した電力を提供
②電力損失の低減:電圧降下が少なく、エネルギー効率が向上
③優れた放熱性:絶縁皮膜がないため、熱を効果的に逃がせる
④組立コストの削減:取り付けが簡単で自動化が可能
⑤高い信頼性:断線のリスクが低く、長期使用に適している
従来のワイヤーハーネスとバスバーの比較
特性 |
ワイヤーハーネス |
バスバー |
電流容量 |
低~中 |
高 |
放熱性 |
低 |
高 |
取り付け |
手作業が必要 |
自動化可能 |
柔軟性 |
高 |
低(フレキシブルタイプを除く) |
コスト |
中~高 |
初期コストは高いが長期的にはコスト効果的 |
バスバーの安全性と環境への影響
バスバーは高電圧を扱うため、安全性が重要です。以下の対策が取られています。
①絶縁コーティング:被覆付きバスバーの使用
②適切な設計:短絡や過熱を防ぐレイアウト
③モニタリングシステム:異常検知と遮断機能の実装
環境面では、バスバーの使用により以下の効果が期待できます。
①エネルギー効率の向上:電力損失の低減による省エネ効果
②材料の削減:ケーブル使用量の低減による資源節約
③リサイクル性:金属製のため、再利用が容易
最新の技術動向と将来展望
バスバー技術は常に進化しており、以下のような最新トレンドが見られます。
①軽量化:アルミニウム合金の採用による車両の軽量化
②高効率化:導電性と放熱性を向上させた新素材の開発
③スマート化:センサー内蔵型バスバーによる状態モニタリング
④3D設計:複雑な形状に対応する3Dプリント技術の活用
将来的には、自動運転車や次世代EVにおいて、より高性能で信頼性の高いバスバーシステムの需要が増加すると予想されています。
まとめ
効率的に電力を分配できることや取り付けが簡単など多くのメリットを活かして、さまざまな領域で利用されているバスバー。近年では、電気自動車の普及によりバスバーの需要はより増加しています。バスバーは、使用箇所に応じてサイズや形状を加工する必要があり、高度な技術力が必要になるため、信頼できるメーカー選びが重要です。
自動車産業の電動化が進む中、バスバー技術の重要性はますます高まっています。環境への配慮や安全性の向上、さらなる効率化を目指し、バスバー技術は今後も進化を続けていくでしょう。
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